前回までは、各投球フェーズでの不良姿勢とその改善についてお話しさせて頂きました。今回はワインドアップ期 の不良姿勢に対してのより具体的なトレーニングについてお話しさせて頂きます。ワインドアップ期の前回の投稿は下記(https://js-sportsbody.jp/10078/)をご覧ください🙇♂️
ワインドアップ期 の代表的な不良姿勢
おさらいとして、ワインドアップ期に起こりやすい代表的な不良姿勢を挙げます。
ステップ脚を挙上した時に,骨盤が後傾し背中が丸まったり、体幹が後ろに反ったりしてしまうと軸脚での体重支持が十分に行えない可能性が大きくあります(図1)。
図1: ワインドアップ期の姿勢
良好な姿勢は軸足上で一直線に立てることだが、体幹を後ろに倒したり、踏み出し足を上げる際に、骨盤が後傾し背中が丸まったり、軸足膝が曲がってしまう。
このような不良姿勢に陥ってしまう要因として以前お話しさせて頂いたように、腸腰筋という股関節前面の筋肉が硬くなっていることや左右の骨盤が非対称に動けないことが要因となっていることが多くあります。また体幹の筋力、特に腹圧を高めるインナーマッスルの機能低下により円背(猫背)になっていることが要因となります。この問題に対しては各種ご紹介したストレッチを行なって頂いた上でより体幹の軸を意識した運動を行なっていく必要があります。(下記参照ください。)
今回の投稿では、この部分を中心にお話しさせて頂きます。
ワインドアップ期 の不良姿勢に対する機能改善
ワインドアップ期 に体幹を安定させる運動
足踏み運動(図3)
バランスマット(図2)という柔らかいクッション性のあるマットを使用します。
図2:バランスマット
①→②③(図3)
バランスマットの上に体幹を真っ直ぐ保ち両脚で立ちます。
その姿勢から、体幹が前後左右にブレずにゆっくり足踏みを行います。脚を上げる際、体幹を後ろに傾けたり、支持側の膝が曲がらない様にしっかりとマットを踏み込みます(図4)。
また、足踏みで重心を左右入れ替える際、支持側の股関節内側でしっかりと重心をコントロールし、図5の様に重心が外側に流れないように注意してください。
図3:足踏み運動
ワインドアップ期 に胸椎を伸展させまっすぐ立つ運動(図6)
①→②
バランスボールを両手で持ち腕を耳の高さに位置するまで挙上します。
この際、手関節・肩関節・股関節・膝関節・足関節までが一直線になるように姿勢を維持します。
②→③④
②の姿勢から姿勢を崩さず左右の脚を交互に持ち上げ、その場で足踏みをゆっくり行います。ここでのポイントは足踏みを『ゆっくり』行うことです。ゆっくり行うことでバランスを維持する動きをスピードで誤魔化せなくなり、より姿勢を維持するための筋力を必要とします。
③④の姿勢では、正面から見た図では支持している股関節の内側に軸を作って立つことを意識します。
図6:ワインドアップ期 に胸椎を
伸展させまっすぐ立つ運動
②→③④での不良姿勢
図7は②→③④の動作の中で姿勢を維持できず背中が反って重心が後方に傾く。
図8は②→③④の動作の中で姿勢を維持できず背中が丸まり胸椎の伸展が維持できない。
図9は②→③④の動作の中で姿勢を維持できず左右に重心をズラしバランスをとる。
上記の事を注意して運動を行なってください。
片脚立位で真っ直ぐ立つ運動(図10)
パルクールバー(図11)という道具を使います。
図11:パルクールバー
①パルクールバーに右足を乗せ、つま先と膝関節の向きを合わせます。この際、重心は右股関節に載せておきます。
②右脚で踏み込んで左脚を持ち上げ片脚立ちをします。この際、パルクールバーに垂直に踏み込み真上に挙がります。
片脚立ちの姿勢で1〜2秒静止します。
③下へ重心を下げる際、股関節と膝関節をしっかり曲げ真下に降ります。
図10:片脚立位で真っ直ぐ立つ運動
運動中の注意点(図12)
A:股関節と膝関節をしっかり曲げることを意識し、膝がつま先よりも前方に出ないことに気をつけてください。
B:片脚立ちする際、重心が後方に偏り体幹が後ろに反らない様に注意してください。また、踏み込み脚の軸上で重心をコントロールできていないと左右にバランスが崩れるので、まっすく立つことを意識してください。
C:降りる際、膝だけで重心を下げるとつま先よりも膝が前方に出てしまうため、股関節と膝関節をしっかり曲げて重心を下すことを意識してください。また、真下に重心を下すため、地面についた際、遊脚側であった方の脚に重心が乗らないようにコントロールしてください。
図12:運動の注意点
今回、ワインドアップ期での不良姿勢改善トレーニングの一例をご紹介しました。ワインドアップ期はコッキング期での並進運動をスムーズに行なう為のエネルギーの伝達という部分では非常に重要なフェーズとなります。ここのタイミングで重心のコントロールがうまく行えない事で次の動きでの不良姿勢に繋がってしまう場合がある為、無視できないフェーズと考えています。また、静止状態での重心コントロールが出来ない場合、動きの中での重心コントロールはより難しくなってしまう為、まずは静止状態で自身の重心をコントロール出来ているか試してみてください💪
J’s SPORTS BODYでは出来ない理由を身体の構造から分析し、身体を変えることで動きを変える事を目的としています。
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