前回はレイトコッキング期での不良姿勢とその改善についてご紹介させていただきました。今回は アクセレレーション期 での起こりやすい不良姿勢とその改善策についてご紹介していきます。
アクセレレーション期 に起こりやすい不良姿勢
アクセレレーション期:(図1)
下肢・体幹・腕へと解放された力が一連の流れで伝わり、投球腕の鞭打ち様運動となりボールに加重される伝達期です。
関節にかかる負荷が最も大きくなるフェーズに当たり、身体の一部に機能不全があればその影響は大きくなります。このフェーズでの肩関節・肘関節の愁訴が最も多いと言われています。
投球動作に必要な実質的な所要時間は約1.67秒と言われており、そのうちアクセレレーション期 はわずか0.12秒で行われると言われている。例えば140kmのボールを投げる選手であれば、0.12秒の間にほぼ止まっているボールを140kmまで加速させると考えると、肩関節・肘関節に相当のストレスが掛かることは想像することは難しくないと思います。
図1:アクセレレーション期
肩関節の最大外旋からボールリリースまでの期間
アクセレレーション期 に起こりやすい不良姿勢
アクセレレーション期の不良姿勢の代表例としては、内旋投げもしくはダブルプレーン(図2)とリリースポイントが後ろになってしまう姿勢(図3)が挙げられます。
アクセレレーション期 :内旋投げ
内旋投げとはレイトコッキング期以降、体幹が早く開いてしまうことにより投球側の腕の準備が間に合わないことにより体幹の回旋エネルギーが使えないためLagging back(腕をしなる動き)が起こってから投球腕が前に出てこなくなってしまうことに対して投球腕を内側に捻る(内旋)ことでボールリリースを迎えようとすることです。
図2:内旋投げ
リリースにかけて腕を内側に捻る動きが優位になる
図3:リリースポイントが後ろ
リリースの際、頭よりも後ろでボールを離してしまう
アクセレレーション期 :シングルプレーンとダブルプレーン
投球腕の軌跡がなす面を「スローイングプレーン」と呼びます(図4)。投球動作中、理想な動きとしては、投球時の上腕の軌道面と肘関節の軌道面が一致しており上腕の延長線上で肘が伸びてくることが理想とされています。このスローイングプレーンを「シングルプレーン」と言います。一方で投球時の上腕の軌道面と肘関節の軌道面が一致せず二重の円を描くような軌跡になっている動きを『ダブルプレーン』と呼ばれます。
図4:スローイングプレーン
①シングルプレーン
②ダブルプレーン
リリースポイントが後ろになってしまう姿勢
レイトコッキング期以降、体幹が早く開いてしまうことにより投球側の腕の準備が間に合わないことにより、投球腕を体幹の回旋力により振り出す事ができず、体幹を横に倒すことや、体幹を前方に倒すことで投球腕を振り出す力を作り出そうとします。しかしこのように体幹を無理やり動かすことで腕が後ろに取り残された状態でリリースを迎えることになります(図5)。
図5:リリースの位置
①理想:体幹の延長線上でリリース
②不良:体幹の延長線上より後ろで
リリース
アクセレレーション期 に不良姿勢が起こる要因
アクセレレーション期での不良姿勢の多くは、アーリーコッキング期・レイトコッキング期での不良姿勢から起因することが多くあります。アーリーコッキング期やレイトコッキング期で「タメ」ができず身体の開きが早くなってしまう(図6・7)ことで投球側上肢の準備が間に合わず、体幹からの回旋エネルギーを生み出せず、投球側上肢を優位に使用した「内旋投げ」になったり、頭部・体幹を一塁方向(右投げの場合)に無理やり倒して(側屈して)腕を振り出す代償を行なってしまいます。
図6:アーリーコッキング期の姿勢
ステップ脚を踏み出す際の姿勢で上半身が突っ込んだり、軸脚の膝が内側に折れてしまう事で「タメ」が出来ないと開きが早くなってしまう。
図7:レイトコッキング期の姿勢
良好な姿勢は体幹の回旋でエネルギーを作り出せているが、不良姿勢では身体が開いてしまい上半身が突っ込んでしまっている。
不良姿勢に対する機能改善
アクセレレーション期での不良姿勢はアーリーコッキング期やレイトコッキング期での不良姿勢の結果としてもたらされることが多くあり、アクセレレーション期だけでの不良姿勢はほとんどないと言っても良いです。また、アクセレレーション期は0.12秒という極めて短い時間で且つ高速の動きの中で行われるため、このフェーズでの動きを意識することは難しく、かえって投球動作の乱れを招くことにつながってしまうこともあります。
そのため、いかにレイトコッキング期までの動きを投球初期動作から作り上げるかが重要になります。
理想的なボールリリースの姿勢とは
ボールリリース時における肩関節に掛かる負荷を最小限にする姿勢は、水平内転角度5.5度、内転角度2.2度とされています(図8)。SSE(shoulder-shoulder-elbow line)がほぼ一致した姿勢、つまりゼロポディションでのリリースと言えます。
図8:理想のリリースポイント
水平内転角度5.5度、内転角度2.2度とされており、SSEラインがほぼ一直線の位置
上記の姿勢を基準とした際に基準より増・減している姿勢をそれぞれ分類分けし比較した研究で導き出されたボールリリースの姿勢で最も避けるべき姿勢は図のA−B−の姿勢、つまり腕が振り遅れて、肘が下がっている姿勢と言われています(図9)。
図9:リリースでの分類
A−B−の姿勢でのリリースが最も肩関節に負荷がかかる
今回はアクセレレーション期の姿勢についてお話しさせて頂きました。リリース時にSSEラインやゼロポディションを獲得することは、パフォーマンスだけでなく障害予防にとっても重要なことです。しかし先にも挙げたように、アクセレレーション期の時間は約0.12秒と言われており極めて短時間に高速で動くためこの時点で腕の位置を整えることをするとかえって腕に頼った投げ方になってしまったり、投球動作の更なる乱れに繋がってしまいます。
あくまでアクセレレーション期での姿勢は、ワインドアップ期・アーリーコッキング期・レイトコッキング期からの一連の動作の結果であり原因ではない事を念頭にフォームを見直して欲しいと思います。
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